関節リウマチの診断までの流れ
関節リウマチは早期に正確な診断をおこない、適切な治療を開始することが非常に大切です。そのためには症状や診察だけでなく、血液検査や画像検査など、複数の情報を組み合わせた総合的な評価が欠かせません。
まえだ整形外科リウマチクリニックでは、専門医による丁寧な診察と精度の高いの検査機器を用いた評価で、早期発見・早期治療をサポートしています。診断では、次のような項目を重視します。
| 関節症状の 特徴 |
小関節を中心とした腫れや痛み、左右対称性、多関節性など |
|---|---|
| 症状の 持続期間 |
6週間以上続く症状はリウマチを疑う重要なサインです |
| 血液検査の 所見 |
リウマトイド因子や抗CCP抗体の有無、炎症マーカーの上昇など |
| 画像検査の 結果 |
関節エコーやX線、MRIなどで炎症や関節破壊の有無を確認 |
| 他疾患の 除外 |
痛風や変形性関節症など、類似の症状を呈する疾患を区別 |
国際的には、2010年に米国リウマチ学会(ACR)と欧州リウマチ学会(EULAR)が発表した分類基準が広く活用されています。
血液検査
血液検査は、炎症の有無や免疫異常の有無を知るために欠かせません。
炎症マーカー
赤沈(ESR)
血液がどのくらいの速さで沈降するかを調べる検査で、炎症の程度を反映します。リウマチが悪化すると数値が大きく上昇し、100mm/hを超えることもあります。
CRP(C反応性タンパク)
炎症の強さを鋭敏に反映し、治療による改善も赤沈より早く反映されます。関節リウマチの活動性や治療効果の判定に有用です。
自己抗体
リウマトイド因子(RF)
関節リウマチ患者の約75%で陽性となりますが、他の病気や高齢者でも出ることがあります。そのため、他の検査と組み合わせて診断に用います。
抗CCP抗体
関節リウマチに特異性が高く、発症初期から陽性になることが多い抗体です。陽性の場合は関節破壊が進みやすいため、予後予測にも役立ちます。
抗核抗体(ANA)
全身性エリテマトーデスなど他の自己免疫疾患の可能性を調べ、鑑別診断に使用します。
その他のバイオマーカー
MMP-3(マトリックスメタロプロテアーゼ3)
炎症を起こした関節の滑膜から産生される酵素で、関節炎が強いと上昇します。活動性の評価や治療効果の判定に有用です。
一般検査
血球計算
貧血、白血球数、血小板数の異常を確認
肝腎機能検査
薬剤による副作用の有無をチェック
尿検査
腎障害や薬の影響を早期に把握
画像検査
関節の破壊や炎症の状態を「見える化」することで、早期診断や治療効果判定につなげます。
X線検査
骨びらんや関節裂隙の狭小化などを確認します。進行度の評価や経過観察に有用ですが、発症初期では変化が出ないこともあります。
関節エコー検査
炎症による滑膜の腫れや血流をリアルタイムで確認できます。放射線被曝がなく、繰り返し検査できるのが特徴です。ごく早期の段階でも炎症をとらえることができます。
MRI検査
X線で確認できない早期の変化(骨髄浮腫、軟部組織の異常など)を検出できます。将来の骨破壊を予測する手がかりにもなります。
CT検査
頚椎や股関節など複雑な構造を持つ部位の評価に有効です。肺病変など合併症の把握にも用いられます。
鑑別診断
関節リウマチの症状は、他の多くの病気と似ているため、正確な診断には専門的な知識と経験が必要です。当院では血液検査や画像検査を組み合わせ、膠原病や感染症など他の疾患を慎重に除外した上で診断をおこないます。
リウマチと間違いやすい病気
膠原病
- 全身性エリテマトーデス(SLE)
- 強皮症
- 多発性筋炎/皮膚筋炎
- 結節性多発動脈炎
- シェーグレン症候群
- リウマチ性多発筋痛症
- ベーチェット病
感染症
- ウイルス感染に伴う関節炎
- リウマチ熱
- 細菌性関節炎
その他の疾患
- 痛風・偽痛風
- 変形性関節症
- 乾癬性関節炎
- 強直性脊椎炎
- 反応性関節炎(ライター症候群)
- 糖尿病性関節炎
- アミロイドーシス
- サルコイドーシス
専門医による診断の重要性
これらの病気と関節リウマチは、症状が似ているだけでなく、血液検査や画像検査の結果が部分的に重なることもあります。そのため「リウマチかどうか」を見極めるには、経験豊富な専門医による総合的な判断が不可欠です。まえだ整形外科リウマチクリニックでは、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医・指導医が診療を担当しています。専門医だからこそ可能な精度の高い診断で、他の病気との違いを丁寧に見極め、患者さまに最も適した治療方針をご提案いたします。
当院での検査の流れ
Step
問診と診察
症状の出方、持続期間、家族歴を伺い、関節の腫れや圧痛を丁寧に確認します。
Step
血液検査
炎症マーカーや自己抗体、MMP-3などを測定し、病勢や診断の補助に役立てます。
Step
画像検査
X線や関節エコーを中心に、必要に応じてMRIやCTも実施します。
Step
総合評価
検査結果を統合し、疾患活動性スコア(DAS28など)を用いて総合的に判断します。
こうした一連の検査を定期的におこなうことで、治療効果を正確に評価し、必要に応じて薬剤の調整やリハビリ内容の見直しをおこないます。
関節リウマチは「早期発見・早期治療」が何より大切です
「関節がこわばる」「腫れや痛みが続いている」「家族にリウマチの方がいて心配」
そのようなときは、お一人で抱え込まずにどうぞご相談ください。まえだ整形外科リウマチクリニックでは、日本リウマチ学会専門医が丁寧にお話を伺い、検査や診断をおこないます。症状に応じた治療を一緒に考えながら、安心して生活を続けていただけるようサポートいたします。
