関節リウマチの治療
関節リウマチの治療では、「寛解」の達成が最も重要な目標です。まえだ整形外科リウマチクリニックでは、最新の治療法と個別化医療で患者さまの寛解達成をサポートします。
寛解とは
寛解とは、関節リウマチの炎症や症状がほぼ消失した状態を指します。
- 関節の炎症や痛みがない
- 朝のこわばりがない
- 全身倦怠感がない
- 診察で滑膜炎が認められない
- X線上で関節破壊の進行がない
- 赤沈・CRPなどの炎症所見がない
寛解の3つの要素
関節リウマチの寛解には、3つの要素があります。
| 臨床的寛解 | 炎症がほぼ消失した状態 |
|---|---|
| 構造的寛解 | レントゲン検査上で関節破壊の進行が抑えられた状態 |
| 機能的寛解 | 身体機能の低下がない状態 |
これら3つの要素がそろうことが、真の寛解達成には重要です。
リウマチ治療の考え方「T2T」
当クリニックでは「T2T (Treat to Target)」という考え方に基づいた治療をおこなっています。これは明確な目標を定め、その達成に向けて治療を進める方法です。
T2Tの重要なポイント
- 患者さまとリウマチ専門医が協力して治療を進める
- 目標は症状抑制だけでなく、生活の質の向上
- 治療の第一目標は臨床的寛解の達成
リウマチ専門医は寛解を目指して走る患者さまの伴走者です。治療の成功には、患者さまの積極的な参加が不可欠です。
寛解を目指した治療の流れ
関節リウマチは「寛解(かんかい)」を目指すことが治療の大きな目標です。寛解をできるだけ早く達成し、それを長く保つことが、関節の破壊を防ぎ、元気に生活を続けるために大切です。
診断から治療へ
- 丁寧な問診や診察、血液・画像検査で正確に診断
- 患者さまの症状や生活に合わせた治療計画を一緒に作成
腫れや痛みを抑えるだけでなく、関節を守り、生活の質を高めることを目標にします。
治療の柱
薬物治療
関節リウマチの治療は大きく進歩しており、薬物療法は寛解を目指す上で欠かせない柱です。それぞれの薬には役割と注意点があり、症状や反応に応じて組み合わせて使用されます。
| 抗リウマチ薬(DMARDs) | 早期に使うことで関節の破壊を防ぐ基本薬 |
|---|---|
| メトトレキサート(MTX) | 標準的な中心薬 |
| 生物学的製剤 | 効果が不十分なときに選ぶ強力な薬 |
| JAK阻害薬 | 新しいタイプの飲み薬 |
| ステロイド | 炎症が強いときに短期間だけ使用 |
| NSAIDs(消炎鎮痛薬) | 痛みや炎症を和らげる補助薬 |
これらを組み合わせて、お一人ひとりに最適なオーダーメイドの治療をおこないます。
リハビリテーション
関節リウマチの治療では、薬物療法と並行してリハビリテーションをおこなうことがとても大切です。リハビリテーションには運動療法、理学療法、作業療法、補助具を用いた療法などがあり、関節の機能を維持・回復し、日常生活をより快適に送るために役立ちます。
運動療法
リウマチ体操
運動療法の基本となるのが「リウマチ体操」です。手指や手首、足指、太もも、首、肩など、全身をバランスよく動かすことで関節が固まるのを防ぎ、筋力の維持や柔軟性の改善につながります。適度な運動はストレスを軽減し、免疫機能のバランスを整える効果もあります。大切なのは無理をせず、痛みの出ない範囲で毎日少しずつ続けることです。
理学療法
理学療法では、水や温熱、光、超音波などの物理的な刺激を利用して、関節の痛みを和らげたり血液の循環を改善したりします。もっとも一般的におこなわれるのが「温熱療法」で、温めることで血流を促し、痛みやこわばりを緩和します。ただし、炎症が強い場合は冷却を選ぶこともあり、「温めるべきか」「冷やすべきか」は症状に応じて判断されます。
外科的治療(手術)
薬やリハビリで十分な効果が得られない場合には手術を検討します。
- 人工関節置換術
- 腱の再建手術
- 関節形成術
手術によって痛みが軽くなり、再び歩けるようになる方も多くいらっしゃいます。当院では、必要に応じて提携する専門医療機関へ責任をもってご紹介し、適切な外科的治療が受けられるよう連携体制を整えています。さらに、手術後も患者さまが安心して生活を続けられるよう、当院でのリハビリテーションや生活指導を含めた丁寧なフォローアップをおこない、回復をしっかりサポートいたします。
装具療法・生活指導
装具療法は、関節機能の低下や痛みを和らげ、壊れやすくなった関節を守るためにおこなわれます。正しく使うことで関節の保護や生活のサポートにつながりますが、装着が難しい・重い・蒸れるなどの理由で使わなくなってしまう方も少なくありません。その場合は自己判断でやめずに、主治医と相談して調整や改良をおこなうことが大切です。自分に合った装具を使い続けることで、日常生活がより快適になります。
部位ごとの装具の例
| 頚椎 | 脱臼や変形を防ぐために頚椎カラーを使用します。蒸れにくいタイプや前開き式などもあります。 |
|---|---|
| 肩・肘・ 手関節 |
肩や肘には保温用や支柱付きサポーター、肘の外側炎にはエルボーバンドが有用です。手関節には固定用や変形矯正用の装具が使われます。 |
| 手指 | 親指の痛みや変形にはCMバンドや軟性装具、指のスワンネック変形やボタン穴変形には指輪型装具が効果的です。 |
| 股関節・ 膝関節 |
体重負荷を軽減する股関節装具や、膝の痛みや動揺を抑えるサポーター・支柱付き装具などがあります。前開き式で装着しやすいものもあります。 |
| 足・足趾 | 足関節や足裏の変形には足底板やサポーター、クッション入りのリウマチ靴が用いられます。近年は保険適応で、機能性とデザイン性を兼ねた靴も選べます。 |
まえだ整形外科リウマチクリニックのリウマチ治療への思い
当院は、患者さまと一緒に
寛解を目指すことを大切にしています。
- 定期的な検査と診察で治療効果をチェック
- 患者さんと目標を共有しながら治療を調整
- 最新の治療法を積極的に導入
- 生活全体を支える総合的なケアを提供
関節リウマチの治療は、医師と患者さまの二人三脚です。薬をきちんと使い、リハビリや生活改善にも取り組むことで、寛解の可能性は大きく高まります。
尼崎市のまえだ整形外科リウマチクリニックは、患者さまに寄り添い、安心して治療を続けられるようサポートします。どうぞ一緒に「寛解」と、その先の豊かな生活を目指していきましょう。
